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第18話 《重量級》なアイツをぶっ潰せ!

last update Date de publication: 2026-07-02 19:14:13

 ミリスが前へ出た直後だった。

 ガノックの拳が、何の躊躇ちゅうちょもなく振り下ろされる。

 床がぜた。

 砕けた石片が雨みたいに降り注ぐ。

 だが、その中心にミリスはいない。

 小さな身体が、紙みたいにふわりと浮き上がっていた。

「おォ?」

 ガノックが口角を吊り上げる。

 次の瞬間には、もう二撃目が飛んでいた。

 横薙ぎ。拳圧だけで通路脇の展示棚が吹き飛ぶ。

 黄金の皿が宙を舞い、砕けた宝石が火花みたいに散った。

 その間を、ミリスが滑るように避ける。

 攻撃はしない。ただ、逃げる。

 右へ。左へ。時には壁際すれすれに。

 拳が届く寸前だけ、身体を浮かせて軌道を逸らす。

 まるで、巨大な獣から逃げる子兎のようだ。

「どうしたァ、小娘ェ!」

 ガノックが笑う。

「さっきの啖呵たんかはその程度かァ⁉」

 返事はない。

 ミリスはただ、必死に避け続けていた。

 当然だ。ミリスの力はあくまで補助寄りだ。

 少なくとも、ガノックみたいな化け物を倒せるほどの力はない。

 ――けど。逃げ回りながら、ミリスは何度もこっちを見ていた。

 焦ったように。

 急かすみたいに。

 
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